内縁関係とは?定義やメリット、扶養や相続の可否などまとめ

内縁関係とは?定義やメリット、扶養や相続の可否などまとめ

内縁関係というと、いわゆる事実婚状態にある夫婦を指す言葉として用いられていますが、法律上の定義はあまり知られていませんよね。今内縁関係にある相手がいるという方は、財産の相続や扶養に入れるのかどうかなど、お悩みの点もあるのではないでしょうか。今回は、内縁関係について、そのメリット、デメリットをまとめて紹介します。

内縁関係の定義とは

内縁関係とは、いわゆる事実婚状態の夫婦の関係性を表す言葉として用いられています。
しかし、実は法律上の具体的な定義は存在しません。判例によれば、「婚姻に準ずる関係」と表現されています。
つまり、夫婦がお互いに婚姻の意思を持ち、共同生活を送っている状態であれば、内縁関係と言えるでしょう。

内縁関係を証明するには?住民票はどうなる?

婚姻届を提出していなくても、婚姻の意思をもち共同生活を送っている場合には、内縁関係を証明することで社会的なサービスを受けることができる場合があります。
手続きとしては、住民票を登録する際、続柄欄に「夫(未届)」もしくは「妻(未届)」と記載する方法が一般的です。

内縁関係でも浮気の慰謝料は請求できる?

内縁関係にある夫(もしくは妻)の浮気により、内縁関係を解消するに至った場合には、慰謝料の請求が可能です。事実婚状態であっても、夫婦には貞操義務があります。 ただし、慰謝料の請求を行うと相手側に「内縁関係では無かった」と言い逃れされないように注意が必要です。予め住民票に続柄を記載するなど、もしもの場合のために対策をしておきましょう。

内縁関係でも扶養に入れる?

内縁関係でも扶養に入れる?

扶養には次の2つの種類があります。

  • 税制上の扶養:(例)配偶者控除の適用されるか
  • 社会保険上の扶養:(例)健康保険の被扶養者になれるか

内縁関係の場合、税制上の扶養には入れません。そのため、妻の収入が一定以下であっても、配偶者控除は適用不可となります。
ただし、社会保険上は扶養の対象になるため、国民年金の第三号被保険者になることは可能です。扶養に入るためには証明が必要になるため、住民票などを提示しましょう。

内縁関係でも財産を相続できる?

内縁関係にあった夫(妻)が亡くなった場合、残された妻(夫)には、財産を相続する権利はありません。婚姻届を提出していない内縁関係の場合には、法定相続人にはなれないのです。
自分が亡くなった後の資産を妻(夫)に遺したいと考えている場合は、生前贈与をしたり、遺言に明記する必要があります。
ただし、内縁関係の夫婦の間に生まれた子供で、夫から認知を受けている場合は、両親の財産を相続する権利があります。

内縁関係でも遺族年金は受給できる?

内縁関係の場合、財産を相続する権利はありません。
ただし、遺族年金の受給が認められる場合はあります。受給できるかどうかは、日本年金機構の審査によります。
審査基準は、次の2つだと言われています。

  • ✓ 事実婚(内縁関係)であったか
  • ✓ 生計同一関係であったか

国民年金の第三号被保険者として登録していたり、内縁関係を証明できる書類があったりすると、審査に通りやすいようです。書類を集めるのが大変という方や、不明点を専門家に相談したい方は、社会保険労務士を頼ると良いでしょう。

内縁関係のメリット・デメリットまとめ!メリットはある?

内縁関係のメリット・デメリットまとめ!メリットはある?

ここまでご紹介してきたように、内縁関係には次のようなデメリットがあります。

  • ✓ 税制上の扶養の対象外となる
  • ✓ 法定相続人になれない(遺産を相続できない)

他にも、夫婦関係の証明が面倒、子供は必ず母親の姓となるといったデメリットも存在します。それでは、内縁関係で居続けることにはメリットがあるのでしょうか。

内縁関係のメリット①姓を変えずに済む

自分の名字に愛着があるという方や、社会的信用を守るために名字を変えたくないという方もいらっしゃるでしょう。内縁関係の場合、婚姻届を提出しないので、姓を変える必要はありません。

内縁関係のメリット②煩わしい親族関係がない

相手のことが好きであっても、相手の両親や親族とは他人でいたいという方もいらっしゃるでしょう。内縁関係の場合、相手の家族とは他人のままでいられます。
煩わしい親族関係に悩まずに済むことは、大きなメリットと言えるでしょう。

内縁関係のメリット③別れても戸籍にバツがつかない

法律婚(婚姻届を提出する通常の結婚)をしている夫婦が離婚をすると、戸籍に「バツマーク」がつきます。このことから、離婚経験者のことを「バツ1」や「バツ2」と呼んだりもしますよね。
内縁関係の場合は、戸籍を変える必要がないため、内縁関係を解消しても戸籍にバツはつきません。

最後に

今回は、内縁関係のメリットやデメリットを紹介してきました。内縁関係には、名字を変えなくて済むといったメリットもありますが、法定相続人になれないといったデメリットもあります。法律婚にするか、内縁関係にするかをお悩みの方は、メリットとデメリットを踏まえて慎重に検討する必要があるでしょう。
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