事実婚とは?事実婚でも扶養に入れる?事実婚のメリット・デメリットまとめ

事実婚とは何か、ご存知でしょうか?入籍はしていないものの、実際には結婚しているのと変わらない関係の男女のことを「事実婚関係」と言ったりしますよね。そこで今回は、事実婚とは何か、事実婚の定義や手続き方法、扶養に入れるのかなど、事実婚のメリット・デメリットをまとめて紹介します。

事実婚とは?定義があるの?

事実婚とは、婚姻届を提出していないものの、実質的に夫婦と変わらない男女の関係のことを意味しています。「内縁の妻(夫)」という言葉がありますが、これは事実婚状態にある夫婦の片方をあらわす時に用いられる言葉です。法律的に言えば、事実婚の定義に当てはまるのは、次の2つの条件を満たす場合と考えられています。

  • ✓ 配偶者のみ
  • ✓ 浮気相手のみ
  • ✓ 配偶者・浮気相手の双方

事実婚における共同生活に関して、何年以上必要といった具体的なルールはありません。ただし、当人同士に婚姻の意思がない「カップルの同棲」は、事実婚状態とは異なります。
ちなみに、婚姻届を提出している夫婦の関係は、「事実婚」に対して「法律婚」と呼ばれることもあります。

事実婚には手続きが必要?

事実婚は、共同生活を送っている当人たちに婚姻の意思さえあれば成立しますので、必ずしも手続きが必要となるわけではありません。しかし、法的手続きや社会的サービスを受ける場合には、事実婚状態であることを証明しておくと良いでしょう。
具体的な手続き方法としては、住民票の登録をする際、続柄欄に「夫(未届)」もしくは「妻(未届)」と記載することが一般的です。
これだけで事実婚関係であることを証明することができます。

事実婚には契約書も必要?

事実婚はお互いの意思と共同生活の事実があれば成立しますが、事実婚関係を証明するための手続きをしておくと、法律婚と同じく、どちらかが一方的に事実婚関係を解消することが難しくなります。また、貞操義務も課されますから、浮気された時には、慰謝料の請求も可能です。
また、2人の間で事実婚生活のルールを明確にしておくためにも、事実婚の契約書を作成するのがおすすめです。事実婚の契約書を作成する場合は、司法書士や弁護士といった法律の専門家に依頼すると良いでしょう。

事実婚のメリットとは?

事実婚のメリットとは?

事実婚にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

事実婚のメリット①夫婦別姓でいられる

日本では民法上、夫婦別姓は認められていません。最近では旧姓を名乗って働くことができる会社も増えてきていますが、婚姻届を提出して夫婦になる場合には、必ずどちらかの名字が変わることになります。
しかし、結婚はしたいけれども、どうしても戸籍上の名字を変えたくないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。姓を変えなければならないストレスから逃れるために、事実婚を選択する人も珍しくありません。

事実婚のメリット②義理の両親とは他人でいられる

事実婚は当人たち同士だけの問題です。そのため、煩わしい親戚付き合いを気にする必要はありません。事実婚する相手とは婚姻関係にあっても、両親とはあくまで他人です。「結婚しても相手の両親とは距離を置きたい」という気持ちが強い人には、事実婚のメリットが感じられるでしょう。

事実婚のメリット③万が一別れても戸籍に「バツ」がつかない

離婚をすると、戸籍に「バツ」のマークがついてしまうことから、離婚経験者のことを「バツ1」「バツ2」と呼んだりします。「バツ」という言葉は縁起が悪いイメージもあるため、離婚したからといって「バツ1だ」と揶揄されるのは嫌だという人がほとんどではないでしょうか。
事実婚の場合、事実婚状態にある男女が別れてしまっても、戸籍にバツがつくことはありません。別れることを想定して結婚する人はいないでしょうが、そういった面から考えても事実婚はリスクが低いと考えられています。

事実婚の関係でも扶養に入れる?

事実婚を検討する場合、何らかの理由で仕事が出来なくなった場合に、相手の扶養に入れるかどうかは気になる点のひとつではないでしょうか。一般的に、扶養には次の2つの種類があります。

  • ✓ 税制上の扶養(配偶者控除が適用されるか)
  • ✓ 社会保険上の扶養(健康保険で被扶養者になれるか)

事実婚では、税制上の扶養には入ることができませんが、社会保険上の扶養には入ることができます。つまり、配偶者控除は受けられませんが、健康保険の被扶養者になったり、国民年金の第三号被保険者になることは可能ということです。
ただし、社会保険上の扶養に入るためにも、公的な証明書類が必要になります。事実婚状態であることを証明できるように、住民票の記載事項を変更しておきましょう。

事実婚で子供が生まれたらどうなる?

事実婚で子供が生まれたらどうなる?

法律婚で子供が生まれた場合には、嫡出子となり、子供は自動的に両親の戸籍に入ります。両親と同じ姓を名乗り、親権は両親2人に与えられます。
事実婚で子供が生まれると、非嫡出子となります。事実婚関係の男女から生まれた非嫡出子は、子供は原則として母親の戸籍に入り、母親と同じ姓を名乗ります。父親が認知をした場合には、父親の欄に名前が記載され、相続権なども与えられますが、認知されない場合、父親欄は空欄となります。また、原則として親権は母親が持ち、両親2人で親権を持つことは認められていません。
事実婚状態である2人の関係が良好であれば、父親から認知を拒否されることもないでしょうから、嫡出子と非嫡出子の違いは、父親と姓が異なることぐらいでしょうか。父親との姓が異なる理由を子供に対しても丁寧に説明できるのであれば、事実婚で子供を持つことに大きなデメリットは無いでしょう。

事実婚のデメリットとは?

事実婚デメリットとしては、ここまでご説明してきたとおり、配偶者控除が受けられないことや、子供が非嫡出子になるということがあげられるでしょう。他にもデメリットはあるでしょうか。

事実婚のデメリット①法定相続人になれない

法律婚の場合、夫(妻)が亡くなった場合、遺された妻(夫)は自動的に法定相続人となり、遺産を受け継ぐことができます。しかし、事実婚の場合、法定相続人にはなれません。
例えば、夫名義の財産である家に住んでいた場合、相続権がなければその家に住み続けることが難しいかもしれません。ただし、「特別縁故者」として遺産を受け取ることができるケースもありますので、生活に必要な財産の相続権については、早めに弁護士に相談しましょう。
ちなみに、事実婚の2人から生まれた子供は、非嫡出子であっても認知を受けている場合、嫡出子と同じように相続権が認められています。

事実婚のデメリット②社会的に差別されることも

日本において事実婚を選ぶ夫婦はまだまだ少なく、社会的に差別されることも珍しくありません。「どうして入籍しないのか」と聞かれることもあるでしょう。自分の両親や相手の両親から反対されることもあるでしょうし、会社でも既婚者として認めてもらえないかもしれません。両親や自分の大切な人を納得させるためには、なぜ事実婚を選んだのかしっかり説明できるようになる必要があります。
メリットやデメリットを踏まえてきちんと考えた上で事実婚を選択したということを分かってもらえれば、両親も反対はしないでしょう。

最後に

今回は、事実婚の定義や法律婚との違い、事実婚を選択するメリットやデメリットについてまとめてきました。事実婚は婚姻届を提出していないだけで、実質的には結婚しているのと変わらない状態を指しています。社会保険の扶養に入ることもできますし、子供を一緒に育てることもできます。とはいえ、日本は事実婚の割合が非常に低く、まだまだ社会的に認知されていないのも事実です。事実婚にするか法律婚にするか迷っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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